OnyxはMarkforged社の3Dプリンターで出力できる素材です。ナイロン系素材にカーボン粉末を練りこんだ素材で、ナイロンの靭性とカーボンの強度を併せ持った優れた特性があります。この記事ではOnyxの特徴と、さらに強度を高める使い方について解説します。
Onyx(オニキス)はカーボン粉末入りのナイロン素材で、ナイロンの持つ耐熱性・柔軟性にカーボンの剛性・耐衝撃性を付与した特殊な素材です。優れた強度であることから試作品だけでなく、実際に使用する機械部品の素材としても採用されます。
機械特性 | 数値 |
比重(g/cm^3) | 1.18 |
耐熱温度 | 145 |
引張強度(MPa) | 36 |
曲げ強度(MPa) | 81 |
衝撃強さノッチ付き(J/m) | 334 |
※測定値は保証値ではなく参考値です。
Onyxは強度の高い素材ですが、ファイバーを充填しながら造形することでさらに強化することができます。
FPR(Fiber Reinforced Plastics)と呼ばれる切削用樹脂にもファイバー入りのものがあります。これは破断したファイバーを樹脂に混ぜ込んだ素材です。通常の樹脂より強度がありますが、ファイバーと平行方向の負荷に弱くなります。
▼従来の破断ファイバー
Onyxの造形時にはこのファイバーを破断されていない長繊維の状態で充填することができ、さらに強度の高い状態にすることができます。
▼Onyxの長繊維ファイバー
設計ソフト「Eiger」を用いることによって、ファイバーをどこに入れるかを調整できます。
上の画像の青い部分がファイバーです。必要な強度に応じてファイバーの量やファイバーを入れる箇所を調整します。造形物の中にファイバーよりも細い箇所がある場合はファイバーを入れることができません。形状によっては入れることができないこともあります。
Onyxには4種類のファイバーを使うことができます。
長繊維を用いることで従来のカーボン入りプラスチックより強度のある造形が可能です。ファイバーの中で最も強度が高くなる繊維です。曲げ強度はアルミニウム合金6000番代と同等の強さです。
機械特性 | 数値 |
比重(g/cm^3) | 1.4 |
耐熱温度 | 105 |
引張強度(MPa) | 800 |
曲げ強度(MPa) | 540 |
衝撃強さノッチ付き(J/m) | 960 |
耐衝撃性、防刃性の高いファイバーです。強靭な素材で防弾チョッキにも使われています。
機械特性 | 数値 |
比重(g/cm^3) | 1.25 |
耐熱温度 | 105 |
引張強度(MPa) | 610 |
曲げ強度(MPa) | 240 |
衝撃強さノッチ付き(J/m) | 2000 |
ガラスを溶かし長い繊維上にしたものです。他の3種のファイバーよりも安価です。
機械特性 | 数値 |
比重(g/cm^3) | 1.6 |
耐熱温度 | 105 |
引張強度(MPa) | 590 |
曲げ強度(MPa) | 200 |
衝撃強さノッチ付き(J/m) | 2600 |
高い耐熱温度が特徴です。
機械特性 | 数値 |
比重(g/cm^3) | 1.6 |
耐熱温度 | 150 |
引張強度(MPa) | 600 |
曲げ強度(MPa) | 420 |
衝撃強さノッチ付き(J/m) | 3100 |
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