MarkXはアメリカのMarkForged社製の産業用3Dプリンターで、強度の高い素材を造形できることが特徴です。世界で初めてカーボンファイバーを使用した製品で、加熱により溶解した材料を積層する熱溶解積層(FDM)方式の3Dプリンターです。
カーボン粉末を配合することによって強化されたナイロンです。ナイロンの靭性とカーボンの剛性を兼ね備えており、反りにくい特徴があります。後述のカーボン長繊維を配合することでアルミニウム合金並みの強度になり、軽量であるため金属部品からの切り替えの用途にも使用されます。
耐熱性が高く、耐熱温度は145℃程度です。
Onyx(オニキス)は長繊維ファイバーを使用してさらに強度を高めることができます。
使用できるファイバーは主に以下の4種類です。
色:黒
最も強度の高く、熱伝導性の高い繊維で、非常に軽量です。部品の軽量化の際に役立ちます。
色:透明
カーボンファイバーに比べて安価で、対費用効果の高いファイバーです。
重量はカーボンファイバーの2倍で、強度は40%程度です。
色:透明
耐熱性の強化されたグラスファイバーです。
耐熱温度は105℃以上です。
色:黄色
4種類のファイバー中最も耐摩耗性が最も高く、柔軟性にも優れます。
耐衝撃性を必要とする部品に適しています。
MarkXの最大造形サイズは330mm×270mm×154mm、最小造形サイズは6mmx8mmx5mmです。
積層して造形するため、モデルをどの方向に積層していくかによって外観や強度の方向が変化します。
高さ方向の最大サイズが154mmであるため、1辺がそれを超える場合は造形する方向が制限されます。
X,Y:1.5mm Z:1.0mm
FDM方式の3Dプリンターは積層して造形していくという性質上、Z方向の穴は比較的良い精度で造形することが出来ますが、XY方向の穴は潰れて楕円になります。精度が必要な場合は穴がZ方向になるように造形する、もしくは後加工することで嵌合できるようになります。
X,Y:1.6mm Z:2.0mm
円柱に強度が必要な場合はピンを圧入するなどの後加工を推奨します。高さが直径の5倍を超える円柱を造形しようとするとせん断を受けやすくなります。円柱をプリントする場合は、応力集中を軽減するために角にRを付けることが推奨されます。
ノズル径がφ0.4であるため、角の部分はR0.2になります。糸面取りはC0.2~0.5程度で、糸面取りと同程度の精度です。積層方向の最小単位は0.05です。最大積層ピッチは0.2です。通常であれば0.1程度で造形しますが、0.05だとかなり滑らかな面ができます。まっすぐ縦に造形すればするほど面がきれいで、傾きが大きくなるほど等高線のような段差が目立ちます。
MarkXにはレーザースキャン機能が搭載されており、任意の層の寸法や高さをスキャンすることができます。寸法精度が必要な部分がある場合、測定したい面が上に向くように造形することで、スキャンして1面までの精度の確認が行えます。
MarkXでは材料の充填方法が3種類あり、強度や軽量化など造形物の用途に合わせて使い分けることができます。また、それぞれの充填割合も変化させることができます。
Rectangular Fill | |||||
直線で塗りつぶすように充填する方法です。 最も密度が高くなり、中身を完全に埋めてしまうこともできます。 縦横方向にも積層方向にも強い造形が可能です。 材料の使用量が多くなるため、その分材料費が高くなります。 |
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Triangular Fill | |||||
三角形を並べた形状に充填する方法です。 充填割合を下げると三角形が小さく、充填割合を上げると三角形が大きくなります。 比較的軽量で縦横方向からの力に強いのが特徴です。 |
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Hexagonal Fill | |||||
ハニカム構造に充填する方法です。 上記の三角形と同様に、六角形が大きくなると充填率も下がります。 最も軽量な造形が可能です。 積層方向の力に大変強く、縦横方向には変形しやすい充填方法です。 |
造形物の表面の厚みも変えることができます。底面と上面は1~10層が選ぶことができ、厚みは積層数×積層ピッチです。(0.1~2.0mm)壁面は0.4mm、0.8mm、1.2mm、1.6mmの4種類です。造形物にタップがある場合などは、壁を厚くして造形します。
強化繊維を使用する場合は、適用する層と充填方法の2要素を選ぶことができます。
積層ピッチは0.1mmに固定されます。
強化繊維を使用する場合、使用量に応じてコストが上がります。
タップや穴の付近、造形が細く壊れやすい部分など必要な部分のみに限定して使用することで、コストを抑えられます。
繊維の充填方法は2種類あります。
1つはモデルの外形に沿って渦巻状に充填する方法で、縦横方向に効果があります。何周分繊維を使用するかを自由に選ぶことができ、また穴の開いた形状の場合は下記3種類から充填方法を選べます。
不要な部分は繊維を使用しない選択もできます。
もう1つはRectangularFillと同様に直線で埋める方法で、積層方向の力に強くなります。こちらは穴の周りは壁と同じ周数強化繊維がつき、空いた部分はくまなく埋まります。繊維の方向を自由に設定できるため、特に強化したい方向がある場合に効果があります。
MarkXで使われる素材は耐熱性が比較的高く、強度もあるため切削での追加工が可能です。そのため寸法精度を出すために造形物の表面を削る、タップ穴を開けるなどの後加工ができます。3Dプリンター出力だけではできない形状でも、切削加工との組み合わせで実現可能な場合があります。
また、MarkXでは造形時に既製品等をインサート成型もできます。タップ部分に特に強度が欲しい場合などに、形状や重さによっては対応可能です。
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