3Dプリンター出力での造形は、データを用意すれば欲しい形状の部品や製品を作ることが出来る便利な手段です。その反面、注意しなければならない点は多く、設定を1つ間違えば失敗してしまうこともあります。
この記事では、よくある3Dプリンター出力の失敗とその対策について紹介します。
3Dプリンターのベッド部分(造形する台)はガラス製や金属製であることが多く、滑りやすいため材料が定着しにくくなっています。このままだと1層目が不安定になっているため、2層目以降がずれてしまい、造形が正しくできません。
ベースに糊を塗るか、マスキングテープを貼り、表面に凹凸を作ることで材料を定着しやすくすることができます。糊は市販のスティック糊を使うことができます。
マスキングテープを貼る場合はその厚みで高さが変わるので、合わせてノズルとベッドのクリアランスの調整が必要です。
ノズルから材料が垂れて納豆のように糸が引いてしまう、糸引きを起こしてしまうことがあります。フィラメントが吸湿し水分を含んでいると、加水分解により融解時の材料の流動性が高くなります。流動性が高いほど流れやすくなるので、ノズルから吐出された材料が垂れて糸を引きやすくなります。
また、フィラメントが水分を含んでいると糸引きだけでなく中の水分が加熱された時に発泡するようになります。材料が固まりきっていない造形中にこれが起こると、泡がはじけた時の衝撃で形が崩れて造形不良を起こします。さらに発生した水蒸気の逃げ場がなくなり圧力が高くなることで、ノズル詰まりの原因となることもあります。
これを防ぐにはフィラメントの管理方法を見直すことが必要です。フィラメントを多湿の場所や、むき出して置きっぱなしにしている場合は、置き場所の変更と密閉容器への収納をしましょう。容器に乾燥剤を入れて保管することである程度は吸湿を防ぐことができますが、それでも完全に防ぐことはできません。
吸湿してしまった場合は、使用前に加熱乾燥させることである程度品質を戻すことができます。オーブンを使っても乾燥させることはできますが、フィラメントが溶けたり焼け付いたりすることもあるので専用のフィラメント乾燥機を使用することを推奨します。
壁が薄すぎると、積層している途中で重さに耐えられなくなり倒れてしまうことがあります。
壁を厚くする、支えとなるサポートを設定する、不安定な部分を覆う範囲にサポートを設定する事で防ぐことができます。通常はベッドに対する角度が45°を超えると、支えるようにモデルの下にサポートが形成されます。
しかし、薄壁は角度がついているわけではないので、ベッドに対して垂直なのでサポートは形成されません。不安定な部分をすべて覆う形でサポートを設定して、造形後にサポートを除去する方法でこの問題を解決することができます。
サポートは嵌合物があり、内外径が決まっている場合など、設計上変更不可の場合もあります。3Dプリンターによっては専用のソフトが自動で計算して支えとなるサポートを作成してくれるものもあります。
手動で設定する場合は、倒れる方向を支える場所にサポートがつくと表面が汚くなってしまうので量(接地面積)はできるだけ少なく設定すると仕上がりが綺麗になります。画像のようにコの字にすると問題なく支えられます。
フィラメントが途中で折れている、ノズルが詰まっている、エクストルーダーの故障などが考えられます。フィラメントは加水分解によって折れやすくなります。フィラメントコイルからノズルまでの間でフィラメントが折れてしまうと送り出すことが出来ません。
ノズルが詰まる原因はノズル温度設定が高い、使用しているうちにノズル先端に埃や材料のカスが溜まっていく、ノズルの移動スピードが遅いといったことが挙げられます。フィラメントを送り出すエクストルーダーのモーターの故障、ギアの不具合によってフィラメントを送り出せずに材料が排出されなくなります。
フィラメントが途中で折れている場合は、スプール側(フィラメントコイルをセットしている側)はそのままで折れた先(ノズル側)のフィラメントを除去します。ノズルの温度を上げてから引き抜きます。
ノズル口に詰まっている場合は掃除して除去します。ノズル内で材料が固まっている場合はノズル温度を上げて詰まっている材料を除去します。除去しきれないくらいに詰まっている場合はノズル交換が必要です。
エクストルーダーという、フィラメントを挟んでモーターを回して押し出す装置があります。このモーターが故障していれば回転しなくなり、ギアが欠けたり摩耗していれば歯飛びしてフィラメントを押し出せなくなります。この場合は交換が必要です。
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