3Dプリンターを使ったものづくりでは、3Dデータのダウンロード・アップロードを活用することができます。その際には自分の権利を守り、他社の権利を侵害しないための知識が必要です。この記事では知的財産権・製造物責任法(PL法)について紹介します。
知的財産権には著作権・商標権・意匠権の3種類があります。
著作権とは、物を作った時に生じる権利です。誰にでも生じる権利で、特許庁への申請などは必要ありません。図面や3Dデータ、造形物などが対象です。無断で誰かの著作物などを配布、販売する行為は著作権により禁止されています。
例えばインターネット上にある3Dデータをダウンロードし、そのデータや3Dプリンターで造形された製品を無断で配布または販売することは著作権を侵害することになります。
商標とは、自社で作った製品やサービスを他社のものと区別するためにあるマーク(標識)です。それらのマークを守るのが商標権です。保護を受けたい場合は特許庁への申請が必要です。
3Dプリンター出力においては、主に商標権登録されている造形物などが対象です。既存の3Dデータや製造物を造形する際には、その製品の商標権が登録されている可能性があります。
意匠とは、自社で作った製品の色や形などのデザインのことです。また、量産が可能であることです。これらの条件を満たしていれば意匠権を取得することができます。
保護を受けたい場合は特許庁への申請が必要となります。3Dプリンターでは主に意匠権登録されている造形物などが対象です。既存の3Dデータや製造物を造形する際にはその製品の意匠権が登録されている可能性があります。
製造物責任法とは、製造物の欠陥により人の生命、身体または財産に被害が生じた場合に被害者が製造物の責任者に損害賠償を請求できる法律です。
製造物の対象になるのは製造又は加工された動産です。具体的には、原材料から加工した物や既製品に手を加えその製品の性質を変えた物です。そのため、不動産やソフトウェア等は対象外となります。
3Dプリンターの造形行為は「製造」に該当します。そのため、製造物責任法の対象となります。欠陥には以下の3つがあります。
製造過程での異物混入や、粗悪な材料の使用により、設計・仕様通りに製品ができず安全性に欠いた欠陥。
設計段階で安全性に欠いた仕様にしたため、出来上がった製造物が安全性に欠けている欠陥。
製品の有用性を発現するために止むを得ない危険性があるにも関わらず、その危険性について開示しない欠陥。